デジタル化が加速する現代において、企業を取り巻く情報も日々膨大に生成されています。従来から企業や組織が利用している財務報告書や公式発表といったトラディショナルデータだけでは、刻々と変化する市場や競合、そして顧客のリアルな動きを捉えきれていないかもしれません。そこで注目されているのが、オルタナティブデータです。
1.オルタナティブデータとは
オルタナティブデータ(Alternative Data)とは、政府や企業が公式に発表する統計データや決算データといったトラディショナルデータ(伝統的データ)以外の、非伝統的な外部情報を指します。もともとは金融業界で投資家が投資判断のためのインサイトを得るために活用されていましたが、近年ではAIや機械学習などの技術向上に伴い、さまざまな分野での活用が広がっています。
オルタナティブデータの具体例
オルタナティブデータには、以下のようなものが挙げられます。
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POSデータ商品がいつ、どの店舗で、いくつ売れたかという詳細な情報
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クレジットカードデータ消費者の購買行動に関する情報
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位置情報データスマートフォンなどのGPSやビーコンから得られる人流データ
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SNSデータXやInstagramなどの投稿、コメント、いいね数、フォロワー数、トレンド、感情分析結果等
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Webサイトのトラフィックデータアクセス数、滞在時間、サイト内での行動履歴、来訪者の属性推定等
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衛星画像データ土地利用、気象条件、建築活動、輸送活動などを捉えるための画像データ
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求人情報データ企業の採用活動の活発さなどを表すデータ
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センサーデータIoTデバイスからの工場や農場、交通機関に関するデータ
オルタナティブデータの特徴
オルタナティブデータには、以下の特徴があります。
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リアルタイム性
トラディショナルデータよりも速報性が高く、市場や状況の変化を早期に捉えることができます。 -
独自性
これまでのデータでは見えてこなかった観点や要素を測定・観測できるため、競合他社と差別化された意思決定が可能性になります。 -
非構造化データが多い
テキスト、画像、音声など、表やデータベースに整然と格納されているトラディショナルデータとは異なり、非構造化データが多く含まれます。 -
粒度が細かい
IoT機器やSNSなどから得られる膨大なデジタルデータ(ビッグデータ)が含まれ、局所的な判断にも活用できます。
2.デジタルマーケティングにおけるオルタナティブデータ活用
デジタルマーケティングにおいて、オルタナティブデータは顧客理解の深化、マーケティング施策の最適化、競合分析などに大きく貢献します。従来の顧客属性データや購買履歴といった自社データ(1stパーティデータ)だけでは見えなかった、よりリアルタイムで多角的な視点を提供してくれます。
より具体的な活用例は以下のことが考えられます。
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顧客行動のリアルタイムな把握と予測人流データやWebサイトのトラフィックデータ、アプリの利用情報などから、顧客の興味関心やニーズを詳細に把握。店舗の出店計画やエリアマーケティング、Webサイトの改善やコンテンツ戦略、広告配信の最適化といったマーケティング戦略に役立てます。
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トレンドの把握と商品・サービス開発SNSデータや検索クエリデータから、商品やサービスに関する口コミ、ユーザーの感情、特定のキーワードの流行などを分析。新商品の開発や既存商品の改善、キャンペーン施策の他、SEO対策や広告戦略に役立てます。
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競合分析と市場予測価格比較サイトのデータ、ニューステキストデータなどから、競合他社の商品の販売数量や価格動向、M&Aや役員人事などの重要イベントを分析。自社の価格戦略や市場の動向、競合の戦略を予測します。
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効果測定と施策改善これまでの施策の効果をより多角的に測定し、リアルタイムでの改善サイクルを回すことが可能になります。
このようにオルタナティブデータはデジタルマーケティングにおいて、より精緻で迅速な意思決定を可能にし、顧客体験の向上やマーケティング効果の最大化に貢献する重要な要素となっています。
オルタナティブデータとしての企業データ
次にBeegleデータに関係の深い企業情報の観点からオルタナティブデータを見てみましょう。
まず、従来のトラディショナルデータとしての企業データは、下記のようなものが挙げられます。
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基本情報会社名、所在地、連絡先、代表者、設立年月日、資本金、従業員数、業種など
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財務情報売上高、利益、資産、負債、キャッシュフローなど
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事業内容提供する製品・サービス、事業ドメインなど&Aや役員人事などの重要イベントを分析。自社の価格戦略や市場の動向、競合の戦略を予測します。
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役員情報役員の氏名、役職、経歴など
オルタナティブデータとしての企業情報データは、さらに以下のような、より動的で詳細な情報を指します。
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求人情報データ募集人数、職種、給与水準や求められるスキルなどから、企業の成長性、事業戦略、投資分野、人材獲得競争の状況などを推測できます。
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Webサイトの更新履歴・コンテンツ分析最新のニュースリリースや企業ブログや差サービス情報サイトの更新内容・頻度から、企業の活動状況、注力分野、マーケティング戦略などを把握できます。
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テクノロジー導入状況データ導入しているソフトウェア、クラウドサービス、開発ツールなどの情報から、企業のデジタル化への取り組み、技術力、今後の投資方向などを推測できます。
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SNSアカウントの活動状況企業公式アカウントの投稿内容、エンゲージメント、フォロワー数、キャンペーン実施状況などから、企業のブランディング、顧客とのコミュニケーション戦略、市場での影響力などを把握できます。
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特許情報・研究開発情報どのような技術に投資し、特許を取得しているか、共同研究の有無などから、企業の技術革新力、将来性、競合優位性などを分析できます。
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サプライチェーン情報サプライヤーや顧客の情報から、企業の取引関係の安定性、リスク、業界内での位置づけなどを評価できます。
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ニュース・IR情報テキストデータ企業に関するニュース記事、プレスリリース、IR情報などのテキストデータの分析から、企業の評判、重要イベント、市場の反応などをリアルタイムで把握できます。
企業データの活用例
これらの企業情報データは、主にBtoB領域、特にデジタルマーケティングにおいて大いに活用することができます。基本的な企業情報(トラディショナルデータ)に加えて、より多角的で動的な情報を活用することで、BtoBマーケティングや競合分析、市場戦略の立案に力を発揮します。
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ターゲット企業の特定とセグメンテーション積極的な採用活動や特定のテクノロジーの導入状況から、今後の成長が見込まれる企業を判別したり、企業ブログやSNSでの発信から抱えている課題を推測し、自社サービスを提案できる企業を特定したりと、ターゲット企業の抽出に役立てられます。また業界全体に同様の分析を行うことで、その業界に対して特有のマーケティング戦略設計が可能になります。
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パーソナライズされたアプローチとコンテンツ作成企業の事業内容、ニュース、導入技術などから、具体的な課題を推定し、それに響く広告文やメールの件名、Webサイトのコンテンツをパーソナライズで展開します。役員の専門分野、経歴、SNSでの発信内容からも、パーソナルなアプローチ戦略を描くことができます。
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競合分析と市場戦略競合他社の採用戦略やテクノロジー導入動向を分析し、自社の採用戦略や事業戦略、製品開発やマーケティング戦略に反映させます。また、業界全体の動向と企業の活動状況を比較し、まだ十分にアプローチされていない市場や、新しいニーズが生まれつつある領域を発見します。
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リードのスコアリングと優先順位付けWebサイトへのアクセスログや資料ダウンロードといった担当者の行動データに、企業のオルタナティブデータを組み合わせることで、より質の高いリードを特定し、営業がアプローチすべき優先順位を決定します。例えば、自社サービスとの親和性の高いテクノロジーを導入している企業や、特定のキーワードで積極的に採用を行っている企業を上位リードとして評価します。
企業情報データも、そのリアルタイム性や多角性に着目することで、デジタルマーケティングにおいて従来のデータだけでは得られなかった深い洞察と迅速な意思決定を可能にします。ただし、データの収集、分析、活用には専門的な知識やツールが必要となる点、またデータの信頼性やプライバシーへの配慮が不可欠である点は、他のオルタナティブデータと同様に重要です。
3.NBSが提供する企業情報に特化したオルタナティブデータ
弊社はオルタナティブデータの企業情報の専門企業として、データの収集から分析、そしてビジネスへの統合までを一貫してサポートしています。弊社が提供する企業情報に特化したオルタナティブデータは、以下のような独自のデータで営業戦略とAIモデルを強力に支援します。
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進化する企業グループ・関連会社データ有価証券報告書などの公式情報に加え、ウェブスクレイピング技術を駆使し、ニュース記事、求人情報、ドメイン関係といった非構造化データから、企業グループや関連会社の隠れた関係性、事業連携の動きを多角的に分析します。
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動的な組織データ名刺情報など非伝統的ソースから個人情報を除いた部署情報を収集・分析することで、企業の組織体制の微細な変化や、事業拡大・縮小の兆候をリアルタイムに近い形で捉えます。
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リアルな店舗運営企業データ消費者のレシート情報からインボイス番号を基に運営会社を特定し、個々の店舗レベルでの売上動向や活動状況を詳細に可視化。市場の「今」をいち早く把握し、精度の高い需要予測や競合分析を可能にします。
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関心がある、導入検討したい企業がわかるインテントデータ従来のクッキー情報だけでなく、資料問い合わせ、展示会への参加、具体的なコールアクションといった非構造化データから企業の動きをキャッチし、関心がある、導入を検討している兆候のある会社リストを作成します。
NBSのオルタナティブデータが拓く、営業DXとAI活用の新境地
NBSのオルタナティブデータの活用により、ビジネスに下記のような変化がもたらされます。
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深い顧客理解・見込み客理解従来のデータでは見えなかった企業や担当者の「生きた情報」を把握し、よりパーソナライズされたアプローチを実現します。
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迅速な意思決定と戦略立案リアルタイム性の高いデータに基づき、市場の変化や競合の動きに即座に対応し、スピーディーな戦略調整と効果的な施策展開を可能にします。
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AIモデルの精度向上高粒度で多様なオルタナティブデータは、AI/機械学習モデルの学習データに最適です。予測分析、リードスコアリング、ターゲティング、レコメンデーションなどの精度を飛躍的に高め、営業活動の自動化・最適化を加速させます。
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新たなビジネス機会の発見独自のデータから得られる知見は、これまでアプローチできなかった市場や顧客層を発見し、競争優位性を確立します。
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